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- エルマフロディット -

心惹かれる、魅せられる洋服。そのハッとするような存在感の背景にあるのは、もの作りへの飽くなき追求。
デザイナーのリアルな声から、そのストーリーを解き明かしていくインタビュー連載企画。第6弾は、
美しく繊細で、かつ着心地のいい上質な素材に定評のある「Hermaphrodite(エルマフロディット)」のデザイナー・中田理子さん。
真摯な姿勢で取り組む緻密な洋服作りのプロセスを、たっぷり語っていただきました。

丁寧に、繊細に織り上げる。始まりは生地作りから

「パッと見て、かわいい!素敵!と、鏡の前で合わせたくなる。そんな洋服を作りたい」
美しく控えめ、そしてやや緊張の面持ちでそう語ってくれたのは、「Hermaphrodite(エルマフロディット)」のデザイナー・中田理子さん。

そして後で話を聞いていくと、「そこには理由がある。エルマフロディットの場合、生地だと思います」

中田さんにとってのインスピレーション。それは今の流れやトレンドを見るのではなく、19世紀初頭まで遡ります。オートクチュールが盛んで、個人でオーダーを受け洋服を作る人が数多く存在していた時代。
「1ミリ単位でその人に合わせて縫われているので、本当に細やか。ここから、毎回ヒントをいただいています」

そこでめいっぱい膨らませた発想をもとに、オリジナルの生地を作っていきます。

「どのくらいの本数の糸を入れるとか、また太さによっても表情は変わってきます。 厚みがあると強度があっても、軽やかさがなかったり。全体の醸し出す雰囲気に影響するんです」

細かいニュアンスを表現するため、現代のテクノロジーや、 ベトナムなどいろんな国の職人さんの助けを借りながら、 試行錯誤を重ね、丁寧に織り上げていくのです。

主張は強すぎず、あくまでさりげなく。

たとえば、今春のアイテムで挙げてくれたのは、可憐ながら存在感の光るグラデーションの花柄生地。
「これまであまり見たことのないような、新しい見え方、奥行きのある配色にしたくて。図案を起こし、オリジナルでプリントをしています」

■【3月下旬入荷予定】Hermaphroditeグラデーション花柄ブラウス ¥28,000+tax
■【3月下旬入荷予定】Hermaphroditeグラデーション花柄ワンピース ¥46,000+tax
■【3月下旬入荷予定】Hermaphroditeグラデーション花柄タックパンツ ¥38,000+tax

また生地幅によって密にしているところ、空間をあけているところでピッチを変えているのも、ささやかで細かなこだわり。 「目立って主張するのではなく、よく見ると『あれ?』というような、さりげないものが好きなので」

生地の仕上がりから、デザイン画を起こしていきます。
「イメージしているのは、若い時から影響を受けてきたパリの女性。自分をよく知っていて、取捨選択が上手。スタイルの主張が強いわけではないけれど、さりげなく個性的。どこが人と違っている。そんな素敵な人の持つサイズ感や丈感などのバランスを研究しています。素材に合わせてデザインを決めるのは、大変さと喜びが入り混じる作業。今も挑戦を続けている感じですね」

さらにアイテムに合わせて柄の位置を決め、1枚1枚裁断し、しっかりと縫い上げる……と最後の仕上げまで、手抜かりなく。

ただ一方で、これみよがしなラグジュアリー感ではなく。ベースはクラシックながら、あくまでさりげなく贅沢さを感じさせる。そんな品の良さこそが“大人のスタイル”である、とも。

「パッと新品で見ただけでは分かりにくいですよね、同じようなアイテムは他にもありますから。ただよく見ると違いが分かる。そこにこだわりを感じ、満足感を得られる方が買ってくださっていると思います」

さりげないこだわりがあること。本物志向を必ず忍ばせること。その重要なキーが「素材選び」だと言います。

そうして丁寧に、大切に作り上げられたものは、ワンシーズンで着終えられるものでは到底なく。「時が経っても古びないので、新しいアイテムが増えると、過去の服も新鮮に見える。そうして毎年コレクションを追加していく感覚で楽しんでいただきたいですね」