designer focus

-フューレン-

世の中にあるすべての洋服には、作る人の気持ちがこもっています。
その心のうちを、デザイナーの生の声を通して届けるインタビュー連載企画。
第5弾はドイツ語で「Feeling」(感じる)という意味を持つ、上品さやフェミニンさを携えた、
いくつになっても輝ける女性のための服を展開する「Fuhlen(フューレン)」のデザイナー・森島由紀子さん。
洋服作りのサラブレッドといえる森島さんの、まずは幼い頃の話から。

のびのびとした、もの作りの環境で育って。

「私の母が洋裁好きで。私は中学の2~3年まで、お母さんの作ってくれた洋服しか着たことがなかったんです」

そう、嬉しそうに語ってくれたのは「Fuhlen」のデザイナー・森島由紀子さん。
そんな親の姿をそばで見ていたからこそ、自身も自然に興味を抱くようになったといいます。
「どっちがいい?と聞かれて、選んでいるうちに、自分の好きなものがわかってきて、
『これ作って』とリクエストしたり。
また母がミシンで縫っている隣で、自分も一緒にバッグとかを作ってましたね。

高校からは美術系に進学。その後ファッションの専門学校に入り、 本格的にデザインの勉強を始めることに。
「学長さんがフランス人で、先生も『ジャン・ポール=ゴルチエ』などのデザイナーや パタンナーなど現役のプロばかりで。その中で、本当に自由に作らせてもらえて、最終的には賞をもらえるまでになりました」

幼少の頃から続く、まさに“超”が付くほどのびのびとしたもの作りの環境が、
森島さんを一流デザイナーに仕立て上げたのです。

「この会社に入るまでの10年間くらいは、流行りものの洋服もたくさん作りました。 リサーチと称してパリとミラノには毎年行っては、コレクションを見たり街のウインドウを見たり。 まわりもみんな個性的でスタイルがある人ばかり。刺激的な毎日でした」

人の記憶の中に残る洋服でありたい。

まさに煌びやかなファッションの世界で、着々とキャリアを重ねてきた森島さん。
同時に年も重ねるうち、40歳を超えたあたりから心にさまざまな変化が訪れたといいます。
「自分ができることってなんだろう。どういうものを届けたいだろうと改めて考えた時、
人の記憶の中に残る洋服でありたい、そう思ったんですよね」

たとえば恋人とのデート時のような、節目節目で着るものはもちろん、 何かにつけ思わず袖を通してしまう。そんな愛着があり、 記憶に残っている洋服は、きっと誰にでもあるでしょう。

「お客さんに『あの時よくあの服を着たなぁ』とか 『出産前に着ていたのってこればっかりだったなぁ』とか。
『私を素敵に見せてくれるから、形そのまま残してまた作ってね』 って言われると、わぁ!と言いたくなるほどうれしい。 やっぱり、すごく力になりますよね」

流行とともに移り変わっていく世界だからこそ、記憶であっても「残る」ことへのこだわりは、森島さんの中であるのかもしれません。

スタイルをきれいに見せる技とは?

記憶に残る。何度でも着たくなる。そんな洋服を作るために、森島さんが今、常に心がけているのは、スタイルをきれいに見せてくれるということ。
「あと年をとって、だんだんプラスのデザインができなくなってきのか、派手なことができなくなったんです。
全体的にマイナスしながら、そのぶん立体的に、フォルムで見せることを重要視しています。
たとえばギャザースカートにしても脇にはギャザーをなくしたり、真ん中から端にかけてゼロにしたり。そうすることで体型カバーにもつながるので」

また仕立てには、かつて森島さん自身がパリで見てきたフランス女性を、 ひとつのイメージにしています。
「フランスって、自分がきれいに見えるものを知っている人が多いんです。 そんな彼女たちがカフェで着ているような、シックで女性らしさが上がるものを作ってみています」

たとえば、この春からお目見えするナチュラルカラーのカットソー。
「襟が開いていて、バレリーナの要素を少し取り入れてみました。きれいめだけど肌ざわりと着心地がよくて、何回でも着たくなる」

またモノトーンをベースにしながら「色を差すことでモードにもなるし、カジュアルにもなるし、
エレガントにもなる。男前なアイテムと、女性らしいものを合わせて素敵に着ていただけるように」

【3月中旬入荷予定】カラーパッケージカットソー ¥9,500+tax
※一部店舗のみ取扱い

そんなアイテムの説明をしてくれた最後、しみじみとこう言います。
「ここまでやっててよかったなぁって。若い時は一生懸命で、 ずっと通し過ぎて嫌になったこともあって。今落ち着いてきて、 いろんな声を聞いて、また頑張ろうかなと思ってます」