designer focus

吊られている時の佇まいや、袖を通した時の感覚……一着の洋服から、作り手の思いを感じたことはありませんか?
ここでは、そんなデザイナーのもの作りの考えやパーソナリティを解き明かすインタビュー連載企画。
3回目は’贅沢な空気感’という意味を有する「luxluft(ルクスルフト)」デザイナー・児玉洋樹さん。
ベーシックに対する思い、機能性の追求など、男性ならではのこだわりをさまざまに伺いました。

ベーシックって、変化したことを気付かれたら負けなんです。

「時代は、よりこだわりの強い人向けのもの作りに、
どんどんシフトしていると思います」

軽妙な口ぶりながら、きっぱりと自信を持ってそう話してくれるのは、
もの作りにもワン&オンリーの個性が光る
「luxluft」男性デザイナー・児玉洋樹さんです。

「普通の大学を出たんですけど、 洋服が作りたくて。
ジーンズメーカーの企画として入り、そこで服作りの専門的なことを
一から学びました。もともとオタク気質だったんですけど、
そこでさらにブラッシュアップされましたね」

そんな児玉さんが得意とするのが、ベーシックなアイテム。「ベーシックって、変化したことを気付かれたら負けなんです。
定番のアイテムでも、毎年必ずパターンの細かい修正を入れながら作っています。
レディスのブランドですけど、作り方が男性的というか、職人的ではありますね。多分そこが、うちのなかではあまりない部分かもしれません」

「ただベーシックなアイテムは、普通に作るとそのままになっちゃうんで、
それだと飽き足らない方々に向けて、マニアックなポイントを隠れて
内包させています。 やっぱりそこが楽しみですよね。
結局、洋服って自己表現のひとつだと思うので。

児玉さんの言う「マニアックなこだわり」その具体例を伺うと、自分でもよくやるという料理にたとえてくれました。

「’この味にするためには、絶対ここの醤油じゃなきゃ’ってありますよね。それと同じように、
洋服にも’このディテールが入ってないとダメ’というものがあるんです。たとえば僕が作るシャツって、
必ずバストトップのところに隠しボタンが付いていて、着るとシャツが開かない。表からは見えないので、
あってもなくても気づかないんだけど、それが入ってるからいい、と思う人もいるわけです」

それには、起こしたデザインを型紙に落としこむ、パタンナーの存在も大きいといいます。
「今パターンを引いてもらっている人が3名いるのですが、そのうちのひとりはオートクチュールもやっていて、そんな人なかなかいないですから」

そしてもちろん、素材や仕上げもしかり。糸の番手や細かい縫製に至るまで「めちゃくちゃこだわる」という児玉さん。
「そういうところでこそ、着てくださる方と繋がっていると信じていますので」

“働かされてる感”がない仕事着のひみつ。

ベーシックとトレンド。そのどちらも感じさせるスタイルとして、
今外せないのはスポーツ、そしてナチュラルというキーワード。
「秋冬は、流れがもうスポーツ、アウトドアに行っているので、
そっち側に舵を切っていますね。と、同時に春からは、
ナチュラルなテイストが好きな女性へのアイテムも増えていきます」

今の季節のおすすめは、ダウンジャケットやサーモライトを使ったデニム。「いわゆるプラスワンで機能を入れているもの」
また、仕事着に使うシャツにも、スポーツウエアの要素を組みこんでいます。「うちのは圧倒的に可動域が違うんですよ。
自在に動くように作ってある。休みの日にスポーツウエアを着てる女性たちが、平日に着心地の悪い服を着るってやっぱりストレスだし、
“働かされてる感”が洋服を通して生まれるような気がして」
「着て重たい服というのは、実は’点’で支えている服なんです。動きにくいことで、硬い=重たいに繋がっちゃう。
可動域がある柔らかな服って、実際の重さほど感じないんですよね」

ベーシックとトレンド、自分のこだわりと着る人が求めているもののバランスを巧妙にとりながら、
長年の勘を駆使し、落としどころを見つけていきます。

「トレンドは時代によって大きく振れていくと思いますし、そこももちろん意識しますが、
その中でもブレないところもあるはずで。その芯が通る部分に力入れて、やっていきたいと思っています」

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